俺のギター部屋ブログ
人はなぜ歌をうたうか
4か月ほどレッスンに通っている60代の生徒さん(女性)の演奏を先日初めて録音し、ご自宅に送って差し上げたその夜にメールを頂戴しました。
その生徒さんは学生のころクラシックやフォークソングの個人レッスンをいくつか受けていて今回当教室で40年ぶりにギターの練習を再開したいわゆるギター経験者です。
(生徒さん):「録音を聴いて自分の歌がおそろしく下手でびっくりしました、でもがんばります」
(私):「上手い下手は判断基準が曖昧です、だから私は歌や楽器演奏の優劣をこっそりと(自分の)好き嫌いで判断することにしています。あなたの歌い方や歌声をじつは私はとても好きで、聴いていると気持ちが安らぎます」
(生徒さん)「ありがとうございます、自分で歌っていてすごく楽しいんです、これからもよろしくお願いします」
(私)「歌い手の楽しさは聴き手に伝わります、そこらへんに答えがあるのかもしれませんね」
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小泉文夫という人が書いた「人はなぜ歌をうたうか」という本を読んだのは1980年代だったと記憶しています。詳しい内容は忘れてしまいましたが、その本の中に「歌は集団で狩りをする古代民族が伝達を目的として発明した」というようなことが書かれてあったような気がします。
「音楽は対話である」というのはニコラウス・アーノンクールという有名な音楽家の言葉です。
人は歌をうたい聴き手になにかを伝えようとし、聴き手はまなざしでそれに応えようとします。本当の心が通じにくい現代社会において人が人に気持ちを伝える手段として機能しうる数少ない方法に「歌をうたうこと」があるのかもしれません。
当教室の歌えるコースでは、初心者も経験者もご自分のペースで楽しみながら好きな歌を練習しています。